定款に記載する事項には、「絶対的記載事項」、「相対的記載事項」、「任意的記載事項」の3つの区分があります。
では、順番に説明していきましょう。
●絶対的記載事項
「絶対的記載事項」は、会社の根幹となる最重要事項のことで、絶対に定款に記載しなければなりません。
この「絶対的記載事項」が抜けていると、定款が無効になってしまうので、注意が必要です。絶対的記載事項の内容は以下の通りです。
【株式会社の場合】
- 商号(社名)
- 会社の事業目的(事業内容)
- 本店(本社)の所在地
- 発行予定の株式総数と株式の種類
- 決算公告の方法
- 設立に際して発行する株式数
- 発起人の氏名および住所、引受株数
●相対的記載事項
「相対的記載事項」は、定款に必ず記載しなければならないものではありませんが、記載すれば法的効力が出る事項です。
相対的記載事項の内容は以下の通りです。
【株式会社の場合】
- 変態設立事項※1(現物出資※2など)
- 株式の譲渡制限
- 株券不所持の申し出の排除など
- 株主総会の議長
- 取締役の任期延長
- 取締役の選任についての累積投票の排除
- 取締役・監査役の員数
- 補欠監査役の任期の短縮 等
※1:変態設立事項とは
株式会社の設立に際して、現物出資、財産引受、会社が負担する設立費用、発起人の受ける報酬や特別利益などについて定めがあることです。
会社の財産に大きな影響を与える恐れがあるので、裁判所の選任した検査官による調査手続きを必要とします。
原始定款に記載しなければ効力はありません。また、この場合の変態とは、通常の設立事項に対し、変則的な設立事項という意味です。
※2:現物出資とは
出資は金銭でというのが原則ですが、発起人に限り、金銭ではなく、現物財産で出資することです。
主に動産、不動産、有価証券などですが、無形の財産でも金銭的価値のあるものは対象となります。
●任意的記載事項
「任意的記載事項」は、記載しても法的な効力は発生しません。
記載してもしなくてもよい事項ですが、会社の経営上明確にしておいた方がいい内容があれば、ここに記載します。
刑法の強行規定や公序良俗に反しなければ何でも自由に記載できますが、あまり細かく記載すると、かえって経営がしにくくなる場合もありますので注意が必要です。
任意的記載事項の内容は以下の通りです。
【株式会社の場合】
- 営業年度
- 定時株主総会の開催の時期
- 総会の議長
- 株式の名義書換の手続き
- 役員報酬の決め方
- 配当金の支払い等
●定款の認証
定款を作成したら、本店(本社)所在地を管轄する法務局か地方法務局所属の公証人役場へ行って、認証を受けなければなりません。
定款は、この認証を受けてはじめて有効となり、登記申請の資格を得ることになります。
◆誰が行くのか?
認証を受ける場合、基本的に、株式会社の場合は発起人全員、有限会社の場合は社員全員が公証人役場に行かなければなりません。
しかしながら、発起人や社員が複数いて全員で認証を受けにいくことが難しい場合は、発起人や社員の中から代表者を選び、その代表者が代理人となって行ってもよいことになっています。また、専門家などの第三者に依頼し、代理人として認証を受けることもできます。
ただし、代理人が行く場合は、委任状が必要となります。
◆持参するもの
以下のものを持って、公証人役場に行きます。
- 定款3通
- 発起人・社員全員の印鑑証明書
- 実印
- 委任状(発起人・社員全員が役場に行けない場合〕
- 収入印紙(4万円)、認証手数料(5万円)、謄本交付手数料(定款1枚につき250円)
- 代理人の印鑑および印鑑証明書(代理人が発起人・社員以外の場合)
●認証の手続き
定款認証用の必要書類を公証人役場に提出すると公証人が内容を確認し、訂正があればその場で指摘し、訂正してくれます(重大な記載ミスなどがあった場合は、定款を再度作成するように言われることもあります)。
問題がなければ、定款3通のうち収入印紙を貼付した1通を公証人役場が保存し、残りの2通が返却されます。その内の1通は後日会社設立登記の申請時に使用し、もう1通は会社保存原本となります。
いかがでしたでしょうか?
文字で読んでいるとなかなかイメージが湧きにくいかもしれませんし、難しく感じられたかもしれません。しかし、時間をかければ思ったほど大変ではありませんから、あせらずにゆっくりと構えて作成されてみてはいかがでしょうか?