会社を設立した場合に、税金関係と保険関係の2つの諸官庁に届け出が必要になります。
以下に提出先別に必要な提出書類と提出期限について解説していきます。
①税金に関する届け出
ここでは税金に関係する届け出について説明をしていきます。
なお、国に納める税金(法人税及び消費税)に関する届け出先が税務署になり、
地方税(住民税及び事業税)に関する届け出先が市区町村役場及び県税事務所(東京23区は、都税事務所)になります。
<税務署への届け出>
会社を設立した場合には、法人税や消費税など国に納める税金に関する届け出を所轄の税務署にしなければなりません。
提出期限はそれぞれ異なりますが、何度も足を運ぶ手間を省くためにも書類は一度に作成しましょう。
1.法人設立届出書(税務署所定の用紙)
会社が設立されたことを税務署に届け出る書類です。
税務署所定の用紙に必要事項を記入して提出します。
提出期限は会社設立から2ヶ月以内です。
法人設立届出書には、会社の謄本、定款のコピー、株主名簿または社員名簿、設立時の貸借対照表、本店所在地の略図などの書類を添付する必要があります。
なお、税務署でいただける記載要領を参考にしながら作成していくとよいでしょう。
また、わからないことがありましたら税務署の窓口で聞いてみましょう。
2.給与支払事務所等の開設届出書(税務署所定の用紙)
給与を支払うべき従業員を雇っている会社にのみ必要とされる手続きです。
提出期限は設立の日から1か月以内です。
添付書類は必要ありません。
なお、税務署でいただける記載要領を参考にしながら作成していくとよいでしょう。
また、わからないことがありましたら税務署の窓口で聞いてみましょう。
3.源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
毎月、源泉徴収を納付する手間が大変だというような場合で、
従業員が10名未満の会社である場合には半年に一度、税金をまとめて納めることが出来る制度があります。
これを源泉所得税の納期の特例の承認といい、
従業員が10名未満の会社であればこの手続きをしておいた方がいいでしょう。
添付書類は必要ありません。
なお、税務署でいただける記載要領を参考にしながら作成していくとよいでしょう。
また、わからないことがありましたら税務署の窓口で聞いてみましょう。
4.青色申告の承認申請書(税務署所定の用紙)
青色申告は通常の申告に比べて税務上のメリットが大きい制度ですので、ぜひ手続きをすべきでしょう。
提出期限は会社設立の日以後3か月経過日と最初の事業年度終了日のうちいずれか早い日の前日までです。
通常の場合は添付書類の必要はありません。
なお、税務署でいただける記載要領を参考にしながら作成していくとよいでしょう。
また、わからないことがありましたら税務署の窓口で聞いてみましょう。
5.棚卸資産の評価方法の届出書(税務署所定の用紙)
決算期ごとの商品の在庫をどのように評価するかを税務署に届け出る書類です。
提出期限は最初の事業年度の確定申告書の提出期限までです。
添付書類は必要ありません。
棚卸資産をどう評価するかによって利益に影響する場合もありますので慎重に決定する必要があります。
また、業種によっても選択すべき方法も異なりますので、選択に迷った場合やわからない場合には、税務署の窓口で聞いてみましょう。
なお、税務署でいただける記載要領を参考にしながら作成していくとよいでしょう。
6.減価償却資産の償却方法の届出書(税務署所定の用紙)
年々消耗していくような資産(例えば自動車など)をどのように評価するかを税務署に届け出る書類です。
提出期限は最初の事業年度の確定申告書の提出期限までです。
添付書類は必要ありません。
原価償却資産をどう評価するかによって利益に影響する場合もありますので慎重に決定する必要があります。
また、業種によっても選択すべき方法も異なりますので、選択に迷った場合やわからない場合には、税務署の窓口で聞いてみましょう。
なお、税務署でいただける記載要領を参考にしながら作成していくとよいでしょう。
<市町村役場及び税事務所への届け出>
会社を設立した場合には、住民税や事業税などの税金に関する届け出をしなければなりません。
なお、東京都23区内と他の道府県で届け出様式と提出期限が異なります。
東京都23区内の場合は事業開始日から15日以内に都税事務所で事業開始等申告書(都税事務所所定の用紙)を提出することになります。
添付書類として定款の写しと会社の登記簿謄本が必要になります。
なお、都税事務所でいただける記載要領を参考にしながら作成していくとよいでしょう。
また、わからないことがありましたら都税事務所の窓口で聞いてみましょう。
他の道府県の場合は会社設立の日から1か月以内に県税事務所及び市町村役場に法人設立等申告書(税事務所所定の用紙)を提出します。
添付書類として定款の写しと会社の登記簿謄本が必要になります。
なお、道府県税事務所及び市町村役場でいただける記載要領を参考にしながら作成していくとよいでしょう。
また、わからないことがありましたら県税事務所及び市町村役場の窓口で聞いてみましょう。
②保険に関する届け出
ここでは保険に関係する届け出について説明をしていきます。
労働保険に関する届け出先が労働基準監督所及びハローワーク、社会保険に関する届け出先が社会保険事務所になります。
<労働基準監督署、ハローワーク>
会社を設立して従業員を一人でも雇用した場合には労災保険(労働者災害補償保険)と雇用保険の適用が義務付けられます。
労災保険とは従業員がケガをした場合に給付が受けられるもので、雇用保険とは従業員が失業したときに給付が受けられるというものです。
この2つを総称して労働保険と呼びます。
労働基準監督署で労災保険の加入手続きを、ハローワークで雇用保険の加入手続きをしましょう。
労働基準監督署で提出した書類がハローワークで必要になりますので、
まず労働基準監督署で手続きをし、次にハローワークへ行きましょう。
<労働基準監督署への届け出>
雇用の状況などを労働基準監督署に届け出て、労災保険の加入手続きをします。
提出期限は従業員を雇用した日の翌日から10日以内ですので速やかに行ってください。
提出書類は以下のとおりです。
1. 保険関係成立届(労働基準監督署所定の用紙です。)
2. 概算保険料申告書(労働基準監督署所定の用紙です。)
以上の書類の提出と同時に以下の書類の提示が必要になります。
3. 会社の謄本
4. 従業員名簿
5. 賃金台帳
6. 出勤簿(タイムカード可)
※その他、ケースによって上記の他にも提出書類が必要になってくる場合もあります。
細かいことについては所轄の労働基準監督署の窓口で聞いてみましょう。
なお、労働基準監督署で渡されるパンフレットを参考にしながら作成していくといいでしょう。
<ハローワークへの届け出>
労働基準監督署に保険関係成立届を提出し終わったら、次はハローワークです。
こちらも従業員を雇用した日の翌日から10日以内が提出期限なので、すみやかに行ってください。
提出書類は以下の通りです。
1. 適用事業所設置届(ハローワーク所定の用紙です。)
2. 資格取得届(ハローワーク所定の用紙です)
3. 保険関係成立届(労働基準監督署の受付印のあるもの)
上記の書類の提出と同時に以下の書類の提示が必要になります。
4. 雇用従業員が以前雇用保険の被保険者であったときは被保険者証
5. 会社の登記簿謄本
6. 従業員名簿
7. 賃金台帳
8. 出勤簿(タイムカードでも可)
9. 労働保険関係成立届の控え(労働基準監督署の受付印のあるもの)
※その他、ケースによって上記の他にも提出書類が必要になってくる場合もあります。
細かいことについては所轄の労働基準監督署の窓口で聞いてみましょう。
なお、労働基準監督署で渡されるパンフレットを参考にしながら作成していくといいでしょう。
<社会保険事務所への届出>
病気やケガで医者にかかる場合に給付が受けられる健康保険、介護に備える介護保険、老後の生活保障を受けられる厚生年金の3つを総称して社会保険と呼びます。
会社の場合は、その規模にかかわらず、すべての事業所で社会保険の加入が義務づけられています。
提出期限は、いつまでといった明確な期限は定められてはいませんが、
事業を開始しましたら、すみやかに手続きを済ませておきましょう。
なお、社会保険の手続きは、所轄の社会保険事務所に備え付けの用紙に必要事項を記入して提出いたします。
提出書類を作成していて、わからないことがありましたら社会保険事務所の窓口で聞いてみましょう。
社会保険事務所への提出書類は以下のとおりです。
1. 新規適用届(社会保険事務所所定の用紙です。)
2. 新規適用事業所現況書(社会保険事務所所定の用紙です。)
3. 被保険者資格取得届(社会保険事務所所定の用紙です。)
4. 被扶養(異動)届(社会保険事務所所定の用紙です。)
5. 会社の謄本(交付後3か月以内)
6. 賃貸契約書の写し(事務所が賃貸である場合のみ必要です)
7. 預金口座振替依頼書(社会保険事務所所定の用紙です。銀行で口座番号の証明印を受けてください)
以上の書類の提出の際に以下の書類の提示が必要になります。
8. 出勤簿(タイムカードでも可)
9. 労働者名簿(市販の用紙)
10. 賃金台帳(市販の用紙)
11. 源泉所得税の領収書
※その他、ケースによって上記の他にも提出書類が必要になってくる場合もあります。
細かいことについては所轄の社会保険事務所の窓口で聞いてみましょう。
以上で、会社設立に必要な項目はすべて終了いたしました。