①その他の必要事項
②定款について
③定款作成のルール
④定款の作成
⑤公証役場で定款の認証を受ける
<定款の作成4:定款の文例>
前回までの記事で、定款作成に関しての一通りの説明をいたしました。
今回の記事では、実際に会社の定款を作成するための文例を紹介いたします。
例になっている定款の記載事項の中で、
赤は絶対的記載事項、青は相対的記載事項、緑は任意的記載事項になります。
ここでは株式会社○○という架空の会社を例に、会社の定款を載せていきます。
なお、定款については法務省のHPに詳細が掲載されておりますので、
そちらも参考にしてください。 商業・法人登記申請
株式会社○○ 定 款
第1章 総 則
(商号) 第1条 当会社は、株式会社○○と称する。 (→類似商号に該当しなかった商号の中から決定したものを記載します。)
(目的) 第2条 当会社は、次の事業を営むことを目的する。 1. ○○の製造及び販売 2. ○○の輸入及び販売 3. 前各号に付帯する一切の事業 (→すでに決まっている目的を記載します。なお、最後に「前各号に付帯する一切の事業」と記載します。)
(本店の所在地) 第3条 当会社は、本店を東京都○○区に置く。 または 第3条 当会社は、本店を東京都○○区○丁目○番○号に置く。 (→最小行政区画である市町村(東京23区や政令指定都市の場合は区)まで記載すれば足りますが、具体的な所在場所まで記載することもできます。なお、最小行政区画である市町村までの記載にしておけば、その市町村内で本店移転をした場合には定款変更の必要がないというメリットがあります。)
(公告の方法) 第4条 当会社の公告は、官報に掲載する方法により行うものとする。 (→ 官報または時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙のどちらかによります。なお、「官報に掲載する方法により行うものとする」と記載するのが一般的です。 ) |
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第2章 株 式 (発行する株式の総数) 第5条 当会社の発行する株式の総数は、○○株とする。 (→会社が設立後に発行できる株式の限度枠になります。)
(株券の種類) 第6条 当会社の株式については株券を発行しない。
(株式の譲渡制限) 第7条 当会社の発行する株式の譲渡による取得については、株主総会の承認を受ければならない。 (→この記載がなければ株式は自由に譲渡できることになります。なお株式の譲渡制限を記載するほうが一般的です。) (名義書換) 第8条 株式取得者が株主名簿記載事項を株主名簿に記載または記録するには、当会社所定の書式による請求書に、その取得した株式の株主として株主名簿に記載または記録された者またはその相続人その他の一般承継人および株式取得者が署名または記名押印し共同して請求しなければならない。 ただし、次の場合は、株式取得者が単独で請求することができる。 1 株式取得者が取得した株式の株主として株主名簿に記載または記録された者またはその相続人その他の一般承継人に対し、株主名簿記載事項を当会社に記載または記録すべきことを命じた確定判決を提出して請求するとき。 2 株式取得者が上記1の確定判決と同一の効力を有するものの内容を証する書面その他の資料を提出して請求するとき。 3 株式取得者が取得した株式の株主として株式名簿に記載または記録された者の相続人であって、これを証する書面を提出して請求するとき。 4 その他、会社法施行規則22条1項各号に定めるとき。 (→通常はこのように記載しておけばいいでしょう。)
(質権の登録及び信託財産の表示) 第9条 当会社の株式につき質権の登録または信託財産の表示を請求するには、当会社所定の書式による請求書に当事者が署名または記名押印し、共同して請求しなければならない。その登録または表示の抹消についても同様とする。 (→通常はこのように記載しておけばいいでしょう。)
(手数料) 第10条 前2条に定める請求をする場合には、当会社所定の手数料を支払わなければならない。 (→通常はこのように記載しておけばいいでしょう。)
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(基準日) 第11条 当会社は、事業年度末日の最終の株主名簿に記載または記録された議決権を有する株主をもって、その事業年度に関する定時株主総会において権利を行使すべき株主とみなす。 (→通常はこのように記載しておけばいいでしょう。) 第3章 株主総会 (召集および召集権者) 第12条 当会社の定時株主総会は、毎事業年度終了後3か月以内に召集し、臨時株主総会は必要に応じて招集する。 2 株主総会を招集するには、会日より3日前までに、議決権を有する各株主に対して召集通知を発するものとする。ただし、総株主の同意があるときはこの限りではない。 3 前項の召集通知は、書面ですることを要しない。 (→通常はこのように記載しておけばいいでしょう。)
(議長) 第13条 株主総会の議長は、取締役がこれに当たる。 2 取締役に事故もしくは支障があるときは、当該株主総会で議長を選出する。 (→通常はこのように記載しておけばいいでしょう。)
(株主総会の決議) 第14条 株主総会の普通決議は、法令または定款に別段の定めがある場合を除き、出席した議決権を行使することができる株主の議決権の過半数をもって行う。 (→通常はこのように記載しておけばいいでしょう。) (総会議事録) 第15条 株主総会における議事の経過の要領およびその結果並びにその他会社法施行規則72条に定める事項は、議事録に記載または記録し、議長および出席した取締役がこれに署名もしくは記名押印または電子署名をし、10年間本店に備え置く。 (→通常はこのように記載しておけばいいでしょう。) 第4章 取締役 (取締役の員数) 第16条 当会社の取締役は1名以上とする。 (→通常はこのように記載しておけばいいでしょう。)
(取締役の選任) 第17条 当会社の取締役は、株主総会において議決権のある発行済株式の総数の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数の決議によって選任する。 (→通常はこのように記載しておけばいいでしょう。)
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(取締役の任期) 第18条 取締役の任期は、選任後10年以内に終了する最終の事業年度に関する定時株主総会の終結時までとする。 (→ 取締役の任期は10年まで延ばすのが限度となります。) (取締役に対する報酬) 第19条 取締役の報酬は、株主総会の決議により定める。 (→ 通常はこのように記載しておけばいいでしょう) 第5章 計 算
(事業年度) 第20条 当会社の事業年度は、毎年4月1日から、翌年3月31日までの年1期とする。 (→1年を超えない範囲で任意に決めることになります。決算期は比較的仕事が忙しくない時期を選ぶようにしましょう。)
(剰余金の配当) 第21条 剰余金の配当は、毎事業年度末日現在の最終の株主名簿に記載または記録された株主および登録質権者に対して支払う。 (→通常はこのように記載しておけばいいでしょう。)
(配当金の除斥期間) 第22条 剰余金の配当が、支払いの提供をした日から3年を経過しても受領されないときは、当会社は、その支払いの義務を免れるものとする。 (→ 通常はこのように記載しておけばいいでしょう。) 第6章 附 則 (設立の際に発行する株式の数) 第23条 当会社の設立時発行株式の数は、20株とし、その発行価格は1株につき5万円とする。 (→ 1株の金額は自由に決めることができ、資本金の額を1株の金額で割って、設立時発行株式の数を記載しておけばいいでしょう。) (設立に際して出資される財産の価額または最低額) 第24条 当会社の設立に際して出資される財産の価額は金100万円とする。 (→ 通常はこのように記載しておけばいいでしょう。 ) (最初の事業年度) 第25条 当会社の最初の事業年度は、会社成立の日から平成○○年3月31日までとする。 (→ 例えば、2月に会社を設立して3月を決算期にすると、会社を作って1か月余りで決算の手続きをしなければならなくなります。第20条の事業年度も考慮しながら決めるようにしましょう )
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(設立時取締役) 第26条 当会社の設立時取締役は次のとおりとする。
設立時取締役 小 林 太 郎 (→ 通常はこのように記載しておけばいいでしょう。 ) (発起人の氏名、住所、割当を受ける株式数およびその払込金額) 第27条 発起人の氏名、住所、発起人が割当を受ける株式数およびその払込金額は、次のとおりである。 東京都○○区一丁目2番3号 20株 金100万円 小 林 太 郎 (→ 発起人は個人でなく会社でもなることができます。なお、記載した住所は印鑑証明書の住所と一致しなければなりません。) (法令の準拠) 第28条 この定款の規定にない事項は、すべて会社法その他の法令に従う。 (→ 通常はこのように記載しておけばいいでしょう。) 以上、株式会社○○ 設立のため、発起人を代理して○○が電磁的記録である本定款を作成し、これに電子署名する。 平成24年○月○日 発 起 人 小 林 太 郎 ←個人の実印で押印します。
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